2013年07月18日

大久保・月終幕より…

月の終幕みての感想文込みなんで、ネタバレ当然な感じ。
ついでに史実の人物像そのものは対比したい部分だけ。



渋いというか激渋という「超○○」っぽい謎な単語と指導者という自己主張をほぼ全編で連呼しまくる幕恋ver.大久保利通。
ウィキによると、趣向はヘビースモーカー、京都宇治の玉露好き、漬物も好きで、何種類か並んでいないと機嫌が悪かった(面倒なヒトや…)、朝食には珈琲とブランデーを少し垂らしたオートミールを好んだ…ただ、出典が『司馬遼太郎 『翔ぶが如く』』ってあるので、どこまでがフィクションのキャラ付けなんだかよーわからんですが…

革命でない変革期の独裁者…っていうと悪いイメージになるけど、時代の変遷期間には必要な時期がある、適切なポジションでの、と思います。こういう人がまとめ役としていないと…戦国時代とか西欧の中世暗黒時代みたいなぐっちゃぐちゃな状態になり…海外が植民地政策を推し進めてる中でそんなことやってたら、今頃、日本はアメリカ合衆国日本州ならマシ、アジア圏大半の例を見れば、完全に搾取の対象な植民地になってた可能性が、同時代人の上層部にすら見て取れたからこその、幕末の大騒ぎ。
まあ、その辺は幕末〜明治史から太平洋戦争が終わるまでの色々が絡むので、いずれ…

「激渋の茶」…冷静に当時の食事上、味覚事情、周辺人物の出自を考えると…たぶん、現代なら「ちょっと濃い上等の煎茶」程度じゃないかな〜と言う気が…人によってはグリーンティーの砂糖入れる前、くらい?
自分が紅茶でマニアな茶葉選びするんですが…好きな人間には美味しいと思う年や銘柄の半分くらいは、興味の無い人には「単なる渋い紅茶」らしい、というのが一つ。
江戸末期、身分制を厳しくすることでバランスを保っていた時代、当然、貧困や食糧事情も上から下までものすごい差があり。貧しい武家(腐った人参でも腹の足し、な以蔵くんくらいの地位)ともなると、白米も難しかった…でなくても、白米はご馳走、という世帯は武家階級でも下の方はけっこうあったからこそ「武士は食わねど高楊枝」なんてコトバが出来たんで。

……そんな中、紅茶よりも発酵度の少ない、保存の面倒な煎茶は高級嗜好品。出涸らしでも振る舞いになるのが通常の下士階級。土佐脱藩組(寺田屋組)は、名を上げてからはともかく、それ以前は通常が井戸水、寒い時に白湯が飲めれば上等、な感じが推測できまして。…それに、作中で寺田屋組が驚いてる場面はあっても、主人公は大久保ルート中でも、それをうっかり、ですませちゃっていて「渋めに入れたお茶」という表現をしてる……
味覚、ってのは10才前後までで一度、ある程度は固定するそうです。その後も変化することはありますが、常識感覚というのも大ざっぱにはその辺で一度は固定があり…その後は本人の資質次第、という感じ……

一般の農民階級の食事上は地方差があっても大ざっぱには…白米の大半は年貢として納めるので、主食はヒエや粟と自家野菜…これも生産量は現代とは比較にならないほど少ないので少量。味付けを濃くして少量でも満腹感を得られるように、と工夫したそうな…。トップの偉いさんの方はともかく、元が土着の地方豪族出で、武家時代(鎌倉辺りから)に戦功を上げて昇格した辺りの階級が大半なのが「下士」に振り分けられる武家の中の階級。江戸時代の制度だと兵農は分離…武士が畑を耕すのはアウト、でも上に仕えるのに着物なんかの体裁は取り繕わにゃいかん……ので、下手しないでも、自家生産可能な裕福な農家よりも、武家の方が貧困な状態な時代…嗜好品に手出してる暇なんか滅多に無い、と容易に推測ができます。

作中に出てくる「干し菓子」って、干し柿辺りが筆頭の、果物を干して、水分が抜けた分、糖分が表に出てくる、それが「甘い物」という認識です。もちろん、この辺は南北に長い日本列島のことなので、何を生産できるか、で地方によって差はありますが…大名家からして、税制や出費の構造は、中央から遠いほど高くなるようになってるんで…(これは徳川政権成立時に、地方盟主が徳川方に居たか、豊臣方に居たか、というのが基本の分類の仕方)…四国方面である土佐やら薩摩、対岸の長州あたりは、普通にやってたらかなりの貧乏に叩き込まれる状態……だからこそ、上層部からでも中央の粗が見えた、と言えなくも無いですが…。

えーと。味覚やお茶の話だった(汗)
要は「激渋茶」って…アメリカンをさらに薄めで砂糖入れてコーヒー飲む人が、いきなり、濃い味の上等のブラックコーヒーを「美味いだろ、さあ、飲め」ってやられる感じかなぁ、と。しかも、当時の彼らには砂糖も高級品なので、それを高級茶に入れるという発想は出てくる可能性は激小。
…なので。この仮説を採ると、主人公は逆に飲める可能性がある…剣道場の娘、ってことは、そこそこ、中くらいの煎茶は日常的に飲み慣れている可能性が高いし、現代の煎茶は摘んだ後の段階でブレンドしたり、生産量全体が多かったりで、旧時代よりも、最低ランクでも濃いめのお茶に感じるかな、と。

純粋な天然煎茶の高級品は…紅茶の連動で調べて…紅茶の方でよかったぁ、と思えるくらい、上は際限がない分類とお値段です。10gで万単位とかあるらしーですよ…恐いんで近寄らないけど(^^;

海に囲まれてる国なんで、塩は精度や質でどこそこの〜と言われるくらいに、どーにでもなるんですが、砂糖を筆頭に、糖分は精製したものは特に高級品…栄養としては、穀物の糖分からとってる辺りだと思われますが…要は「甘い」と感じる基準がちょっとかだいぶか、違う、ということで。

(余談…ここらへんの基準の認識を持つと、時代劇で偉いさんに「黄金の菓子」って現金渡してる偽装の意味合いがちょっと変わるかも。現代でお歳暮に使う程度のお菓子でも、高級度ではかなりなもので、立派に上層への挨拶手土産にはかなり立派なものなので、ホントに菓子であっても度合いによっては賄賂になり得る、って意味では、落差の印象が少し縮まるかな、と)


……が、別にゲームの状況にケチつけたいわけでは無い…っていうか、ちゃんと踏まえてる感じが…
京都・大阪・江戸辺りの中心地は一種の商産業地帯なので、下層武家階級よりよっぽど金持ってる層が多いです…地方で生成された甘味や食べ物、工芸品は、上層武家階級やこれら都市部の商人に買い上げられ、地方民の農民はそれで食い扶持を稼ぐ。自然、都市部には商業品として甘味や茶などの嗜好品、装飾品など様々なものが集まり、売買されることで成り立つ世界になるので、基本的に舞台を京に限定していれば、たぶん、ああいう生活も又、自然な流れ、ということで。しかも、高杉、桂、大久保辺りは地方とは言え比較的大きな大名の直参階級で、それに影から連動している坂本一派も自然に周囲からの階層の認識が変わる、という感じで。

新撰組の方はある意味、もっと深刻です。だって、一応は土佐藩の下級武士として認定されていた岡田家でさえ、貧困な時代に主家と呼べる者が無い、要は就職するべきところが無い、しかし制度の上では武家階級なので商売や農業等に堂々と手を出すことは「許されない」のが、いわゆる浪人と呼ばれる人たちで。……商家に婿養子に出るとか、一応、抜け道はあるんですが、身分社会で好んで自分の身分を落とすかどうか、の価値観はかなり深刻です。……だから、仮就職状態であっても、仮にも「松平」=将軍家傍系に雇われる形になった壬生浪士組、後の新撰組というのは、身分だけでなく、生活においても大躍進。そらぁ、気合いの入り方が違います……その気合いを利用されちゃった、という見方もできますが……。ただ、情勢を見て途中で新撰組を抜けて、なんとか生き残った人たちの中には、その後、それなりの地位や職分が与えれているので、一概に「どの道が正しい」とも言えない。

まさに「勝てば官軍、負ければ賊軍」のど真ん中で、どちらが勝つか負けるか、だけでなく、のらりくらりと交わし続けて態度をはっきりしないままに大政奉還や王政復古の大号令を迎え…その後も情勢を覆そうな気もしなくも無い、ついでに海の外からは列強各国が獲物を狙うように睨んでる、戦国時代よりもずっとややこしい中で、不自由な選択肢を迫られた人たちが、幕末から明治をさまざまな方向から動かした人たちの物語の一つが『幕末志士の恋愛事情』という作品の一側面だと思います。
……個人的にはこーいう話のが好きだったりするので、単なる恋愛ゲーム体験だけじゃないのがすっごく嬉しいんですが…まぁ、そこら辺は何が好きか、っていう問題で。


……に、しても。

大久保月終幕はホントにビックリしました、私にとっては良い意味で。
と、同時に、最低でも大久保さんと桂さんの場合、歴史に影響を与えるんじゃないか、というか、いわゆるIF物語とかSFの序章みたいなイメージが。

だってさ。
明治初期の約10年間に政府を実際に動かした人たち(役職が参与…内閣制成立前)、幕恋作中に名前がそこそこ出てるのが、大久保利通、桂小五郎改め木戸孝允、西郷隆盛、乾改め板垣退助、後藤象二郎、山内容堂。
この中で一番の面倒ごとだったのは、旧薩摩藩士と旧長州藩士の対立(土佐は出遅れ気味らしい…)。それに加えて、西郷隆盛が抜ける原因は大久保利通の富国強兵政策…まぁ、西郷は巻き込まれた格好とも言えるけど、引くことも不可能じゃ無かったはずだし、大久保側も譲歩の余地が皆無とは言えなかったはずなんだ。
……で、そこに、あの嫁が居る状況を考えると……
薩長の筆頭、大久保・木戸の対立構造の緩和や、富国強兵政策にも若干の変化が見られる可能性(…あの政策自体は、二次大戦終了後まで、日本が日本として存在していくには必要ではあったはずなので……えーと、大久保や桂の嫁があの子になった場合……夫婦喧嘩の妥協案が政策に影響しかねない、というすさまじいことに…?)
えーと…。あとは、人間関係の緩和剤になってるし、大久保ルートでは西郷とのやりとりもあるので、戊辰戦争くらいは回避された可能性もちょびっと。

戊辰戦争の発端は、欧米列強各国との条約調印に出かけた参与一同の中、留守を預かった西郷と、列強を見て朝鮮を植民地化することで日本の国力をアピールしようとした大久保との食い違いもあったようなので…結局は、戊辰戦争・五稜郭の乱などで流れはしたんですが……
(ちなみに、後年の大東亜共栄圏設立思想は、植民地政策とはかなり違うんで、日本が占領目的で朝鮮半島に実際に攻め込んだ最後は、豊臣秀吉の朝鮮出兵になります)

あと、大久保さんは暗殺されんですむ可能性も……犯人の意思はかなり下っ端がとらえれただけらしいのではっきりはしませんが、原因の一つ二つは、富国強兵政策の強引な強行や旧薩長関係の余波が大きかったようなので…さじ加減次第と薩長の内部関係次第では起こらなかったかもしれない。

初代総理大臣・大久保利通。対立では無く協力関係としての内閣府構成員としての木戸孝允・西郷隆盛・伊藤博文・板垣退助……そんな初代明治政府内閣の可能性。

……っと。坂本一派のその後の描写も無かった。彼らが生き延びて野に下り、裏から…というか、非公式の協力関係者として動いて経済や民意の意識改革に協力して新たな人材が発掘される、なんて可能性すら……あるかもしれないかなぁ、なんて……ね。
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posted by 龍魔幻(りゅーま) at 17:08
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この記事へのコメント
面白〜い!
幕恋を単なるゲームとしてじゃなく、その裏の考察とは…
明治期の話、IF物語としても面白いものがある。
Posted by ねこのこ at 2013年07月18日 21:27
>ねこのこさん 楽しんでいただけて嬉しいです、ありがとうございます。ドラクエですら、その後とか裏とかを「ゲームの都合」以外のこと考えちゃうのが元からの性分でして… フィード・バックが二次じゃなくてオリジナルに向かってたんですが……
発想として「IF」は大昔からの「もし誰某がこうだったら」系で、斬新とはほど遠いんですが…

……このネタ、長編構えで書くとしたらかなり勉強せにゃ、で無理そうなので、感想風で書いちゃった(^^; どこかで忘れた頃に何かネタにしたら、ニヤッ、としてやるか「バレてるよ〜」って言ってやってくださったらとっても嬉しいです。
Posted by りゅーま at 2013年07月19日 11:14
こういう考察好きです^^ 幕恋って単なる恋愛万歳なゲームじゃないんだなって考えられそうな考察でした。主人公の存在って、歴史をおもいっきりかえちゃいそうな鍵になってるんだなって。寺田屋組が生き残ってるだけで既に歴史違うしw そうなったら高杉さんも生き残って…ゲフゲフ 土方さんなんかも幕恋の終幕に関してはすでに歴史何処いったになってるようだしwwwww
Posted by 大和 at 2013年08月14日 17:01
>大和さん 遅くなりまして…そして、コメントいただいた頃、ちょうど文末の構想を高杉さんで書いていた真っ最中で「え!?大和さん千里眼もってるの??」な気分でした(^^;
世界史や古典の方が多いんですけど、もともと、個人的に歴史IFな話、好きなんで…トンデモ状態ならなお楽し♪(手持ちの本で周囲に最強認定されてるトンデモは唐の国で妲己とアーサー王が主役で旅してて、水のあるところしか移動できないランスロットのゾンビが云々で、なぜかラスボスが聖徳太子(笑))
昔はこういうジャンルの本、たくさんあったんですけどねぇ…上記はさすがに極端すぎですが……お金無かったから市の図書館で読みあさってましたが… 私がまず、幕恋を恋愛ゲームとしてでなく、バタフライ効果的なSF・IF的歴史物とみてるのでorz 比較してニヤニヤするのをついでに公開してまする…
Posted by りゅーま at 2013年08月18日 09:46
りゅーま様初めまして。幕末サーチ?リンクから来ました。
こちらに書いてあることが大変参考になりまして、楽しく読ませていただきました。
幕恋てしょっちゅう小娘が干菓子買いに行かされますよね。だけど当時は、りゅーまさんおっしゃる通り砂糖は高級品で、そうそう甘いお菓子ってなかった(大福ですら塩大福で甘くない)そうですし、そんな甘い菓子ばっかよく買えるなーとか、そういうとこいい加減だなぁって思いながらプレイしてます。
出てくる食事だってぜったい現代の方が美味しいと思います(笑)。
大久保さんは苦くない玉露を苦くなるまでがしがし煮出して飲んでたと聞きましたが…煙草もきついのが好きで味覚障害もあったんじゃないかと邪推。
食パンのおかずが漬物だったそうですからね。

とはいえ、いちおう乙女ゲームなのでそこらへんはどうでもいいのかなぁと、ツメの甘いシナリオ(大久保√は最悪です個人的に、ツメは甘いわ恋愛要素ゼロだわ)読みながら笑ってます。

長々とお邪魔しました。
Posted by 渡会 at 2013年09月24日 23:02
>渡会さん 初めまして。ありがとうございます。おっしゃる通り、砂糖やおまんじゅう等に使う餡等はかなりの高級品ですから、作中の干し菓子≠チてたぶん、干し柿みたいなレベルの甘味かと…この辺なら、元禄文化(5代将軍辺り)以降には、江戸や京、大坂などの都市部の小金持ちくらいなら手が届くようになってるっぽいし、一人で勝手にほっつき歩いてるように見える(^^; 大久保さんや高杉さんは薩摩、長州のかなりの偉いさんですから、饅頭でないだけ、妥当かな、と。

味覚はどうなんだろ…私個人、中世西欧のライ麦パン(ようは庶民以下の粗食)を再現しました、ってのを機会があって食べた時にけっこう美味しいと感じたので…個人差かなぁ、と(^^;

大久保さん、濃い味が好きなのか、当時の人感覚で濃く感じるものが好きなのかは?? 宇治の玉露の本物は渋みのなかに甘みが少し、って感じだし(買えないですよ、試飲で(^^;)…

>食パンのおかずが漬け物 うちの近くの喫茶店いくつか、コーヒー頼むと、モーニング・タイムにはうどんとサラダとパンがついてくる所が……と考えるとあんまりかわんないかも(- -; ←愛知・西三河…4県くらいは知ってる…


私、乙女ゲームってよくわかんないままやってるので、ゲームというか物語認識がたぶん、異文化交流物語なイメージに(^^; ……ふつーのだと、もしかして砂吐きそうな甘々なのでしょうかしら…
Posted by りゅーま at 2013年09月25日 19:14
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